Mの部屋
第8回 クリーンルームでも汚れる光学系
前回のつづき。クリーンルームの中で使用していても光学系は劣化します。
なぜなのかをちょっと考えてみましょう。

■クリーンルームでも光学系は汚れる?

得前回はクリーンルームの話しをしましたが、最後にクリーンルームでも光学系が汚れる話しについて問いかけをして終わりました。
今回はその答えについて考えたいと思います。

通常クリーンルームの中は前回話しをしたとおり規格にのっとった管理がされています。
前回お話ししたとおり、クリーンルームの基本としては以下の役割を果たしています。
1. 室内に入る外気、人、物などを通じ、塵埃を持ち込まない
2. 室内で発生する塵埃を最小限にとどめる
3. 室内の汚染物質を適切な換気によって速やかに室外へ排除する
これらを数値化して管理されているのになぜレーザー光学系が汚れてしまうのか?



レーザー光の透過部分だけが汚れてる

塵埃については、ほぼ影響することがないと思われますが、汚染物質に関しては粒子も小さく、人体に影響すること無い物質の場合、完全に室外に排出されているかまでは管理されていない場合がほとんどだと思われます。
もちろん最先端のスーパークリーンルーム内では違うとは思いますが、スーパークリーンルーム内でレーザー加工を行う事はないので今回はレーザー加工が行われるレベルでのクリーンルームという意味あいになります。

クリーンルーム内のガスセンサーとしては毒ガス系、酸素濃度が設置されていることが多いかと思いますが、どちらにも反応しない気体は数多く存在します。言わばそのようなガスはある意味“野放し状態”となっているわけです。これらは気体なので目にすることはできないわけで、目に付かないので気づかないのが現状です。

クリーンルームでレーザー加工を行っているのにある一定時間が来ると必ずレーザー光学系が汚れてしまう、“クリーンルームなのに”と思ってクリーニングや交換を行っているのではないでしょうか。


レーザー光学系全体をパージする

結論としては大気中に含まれる物質がレーザー光でレンズに蒸着のような現象を起こし、レンズ表面を汚してしまいレーザー光の透過を妨げたり、レーザー光を反射させたりして、加工点へのエネルギー不足を引き起こしたりするのです。クリーンルームはクリーンのはずなのですが意外な盲点があったということです。

そしてこれらレーザー光学系の汚染をについては2つの考え方があり、
1. 汚染を承知でレーザー光学系を一定時間で交換する
2. 光学系の経路全体を囲い窒素ガスなどの不活性ガスでフローパージする

前者はイニシャルコストはかかりませんがレンズの交換費用がかかります。後者はパージのための光学系の筐体イニシャルコストがかかってしまいます。どちらを選ぶかは利用している方の判断にゆだねられますが、手間を考えると後者の方が理想的でしょう。

パージしたからといって永久にレーザー光学系を交換しないで済むというわけではないのが悲しいところではありますが。